22XX(ニーニーエックスエックス) (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社 (1994年1月1日発売)
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感想 : 11
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帰省中に再読。エレナと出会う前のジャックの物語。クリーグランドの王女がテロ組織に誘拐され、王女を救出したものには莫大な報奨金が支払われるという。賞金稼ぎたちが集まるが、その惑星は凶暴な野生動物や、人喰い人種フォトゥリス人がいる未開のジャングル。ジャックも賞金稼ぎのため参加するが、偶然助けたフォトゥリス人のルヴィという少女に想定外のプロポーズをしてしまい彼女と行動を共にするはめに。

フォトゥリス人が人間を食べるのには神聖な理由があり、彼らは人間に限らず動物の「命をいただく」食事という行為に大変な重きをおいている。愛する相手に食べられることは相手の生命となりともに生きる名誉なことで、罪人や裏切り者のことは「食べてやらない」ことで相手に対する懲罰とする。彼らにとって誰にも食べてもらえずに死ぬことは、永遠の命を失うということなのだ。

ジャックは、かつて自分を人間だと信じていたほど精巧なロボットゆえ空腹を感じるように作られているが、食したものが彼自身の血肉となることはないため、食べることに罪悪感を感じている。しかし食べなければ飢餓感に襲われる(死ぬことはないのに)。ジャックを恨んでいるフレディという男はジャックのその弱点につけこみ彼を飢餓状態に陥れるが・・・。

今読むと『ワンピース』のサンジとゼフのエピソードを思い出す。ジャックを人間だと信じているルヴィは、自らの手を切り落としてジャックに食べろと与えるのだ。ジャックはそれを「人間的な理由で」食べることができない。

『竜の眠る星』含めそれ以降のジャックとエレナのシリーズは、実は重いテーマのものが多く、過去編とはいえアンハッピーエンドのものが多いんだよなあ。今回のジャックにしても、「千の夜」「月下美人」でのエレナにしても、そして「竜の眠る星」でも、結局彼らは、大切だと思った相手を守ることができなかった後悔を抱えてしまうことになる。今のところこれがジャックとエレナシリーズの最後の作品(発表順では)になっているけれど、無性にハッピーエンドの話が読みたいよう!と思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ○清水玲子
感想投稿日 : 2020年1月13日
読了日 : -
本棚登録日 : 2020年1月13日

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