ALICE IN WONDERLAND
2010年 アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:ミア・ワシコウスカ/ジョニー・デップ/ヘレナ・ボナム=カーター/アン・ハサウェイ/クリスピン・グローヴァー
ティム・バートン&ジョニー・デップでアリスなんだから、絶対素敵なことになったるはずだと信頼しきって見に行ったわけですが、驚いたことに、なんと、これが・・・・・そうでもなかった!!
いやもちろん眠くなったりはせずに、普通にハラハラドキドキ最期まで面白く見ることはできるし、キャラクターやワンダーランドの造型はファンタスティックでチャーミングだし、けして楽しくないわけじゃないんだけど。なんというか、ティムの映画を見たような気がしなかったんだよなあ(汗)。随所にティムらしい部分もなくはなかったんですが(赤の女王のキャラとかね)、こういう映画は、きっとティムじゃなくてもハリウッドでならいくらでも作れるんじゃないかと思う。
19歳になったアリスは、父を亡くし、貴族のいけすかない息子と意に添わない結婚を強いられようとしている。プロポーズの返事をはぐらかして逃げているうちに、ウサギを追いかけて落ち込んだのが例の穴・・・というこの導入部からして安直というか新鮮味も夢もない。そしてワンダーランドでの戦いで勇気と自信を得たアリスがもとの現実世界へ戻ってきて、婚約者を振り、自分の道を歩みだす・・・というラストも、なんかものすごくありがちな前向き展開で。
そもそもワンダーランドにやってきたアリスが、まるでナウシカ並の救世主扱い。予言の書に記された少女が、伝説の怪物を倒して世界を平和に導くって・・・そう、これって、日本のファンタジーアニメやRPGの王道、じゃないですか?(苦笑)。序盤こそ不思議の国的ではありますが、最終的にアリスは鎧をまとい、伝説の剣を手に、竜のような怪物と一騎打ち。これのどこがアリス?っていうか、むしろペレンノール野でアングマールの魔王を倒したエオウィン@ロードオブザリングのようでした。
ジョ兄のマッドハッターは、まるで革命軍のリーダーのような役割だし、最期は赤の女王軍と白の女王軍が全軍上げての合戦になって、これもまんまロードオブザリングみたいで、ワンダーランドどころの騒ぎじゃないです。冒険活劇としては楽しめますが、ルイスキャロルの描いた世界、そしてティムが本来得意としていたはずの世界、とは正直ものすごくかけはなれてしまってました。
そんなわけで、個人的にはかなりガッカリ度高かったです。これを見るなら、シュヴァンクマイエルのアリスを見たほうがいい。
(2010.09.20)
- 感想投稿日 : 2014年11月21日
- 読了日 : 2010年9月20日
- 本棚登録日 : 2014年11月21日
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