ソラニン スタンダード・エディション [DVD]

監督 : 三木孝浩 
出演 : 宮崎あおい  高良健吾  桐谷健太  近藤洋一  伊藤歩  ARAT  永山絢斗  岩田さゆり  美保純  財津和夫 
  • TCエンタテインメント (2010年9月2日発売)
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2010年 日本 125分
監督:三木孝浩
原作:浅野いにお『ソラニン』
音楽:ent
主演:宮崎あおい/高良健吾/桐谷健太/近藤洋一(サンボマスター)/伊藤歩/ARATA/永山絢斗

大学時代から交際している芽衣子(宮崎あおい)と種田(高良健吾)は、今は芽衣子の部屋で同棲中。芽衣子はOLとして働き、種田はフリーターをしながら、大学の軽音楽部時代からのバンドをドラムのビリー(桐谷健太)、ベースの加藤(近藤洋一)と共に続けていた。しかし会社に嫌気が差した芽衣子は衝動的に辞表を出し無職に。それを不安がる種田との小さな諍いを繰り返しながらも、種田は芽衣子にはっぱをかけられて奮起、バンドのデモCD「ソラニン」を作りレコード会社に売り込むが…。

原作は未読。正直に言うと、もし自分が今10代だったら、この映画にとても共感できたかもしれないけれど、すっかり大人になった今いちばん共感できる登場人物は、ARATA演じる元バンドマンながらレコード会社のサラリーマンとなり長いものに巻かれる人生を選んだ冴木のほうだった。

宮崎あおいちゃんは可愛いし、高良くんは眼鏡が似合ってていかにもこういうバンドマンいそう(ひとむかし前の金髪ロン毛みたいなのじゃなくてちょっと文系の)って感じだったけど、とにかく彼らの言動が中2過ぎて、おいおいいつまでそんなこと言ってるんだよと意地悪な気持ちになってしまう。彼等が高校生くらいなら許容できたかもしれないけど、20代半ばだしなあ。いやもちろん自分自身の20代半ばもあんなもんだった気もしなくはないけど。

とにかく種田がどっちつかずでイライラ。バンドでデビューしたい、自分の音楽を聞いて欲しいと言う強い気持ちがあるなら、どんな状況でもその夢にむかって邁進すれば良いと思う(終盤の芽衣子のように)。しかし就職はしたくないがバンドで成功する自信もない、でもバンドはやめたくない、自分がフリーターでいるためには芽衣子は正社員で働いていてほしい(つまり半分ヒモ)とか、自分の本心と向き合わずふわふわしっぱなし。まあこういう迷い、葛藤こそがこの作品の主題なので、そこ否定したら終わりなのかなとは思いつつ。

前半の1時間はそんな感じで不安定な彼等の日常がふわふわ続き、後半1時間は、あることが起こってがらりと様相が変わる。前半を丁寧に描いたからこそ後半の展開が生きると思う反面、こういう展開なら前半冗長すぎとも思う。しかし紙一重で、お涙頂戴系とは一線を隔しているところは良かった。おおまかな構成としては80年代の映画だけど『ロックよ、静かに流れよ』と同じ。

音楽もの原作の実写化メリットとしてはやはり、音楽をちゃんと耳で聴けること。その点はとても良かった。作中バンドが演奏する「ソラニン」とエンドロール曲はアジカン、劇中音楽はストレイテナーのホリエアツシのソロプロジェクトent(http://entjp.net/)が担当、そしてベーシスト加藤役で出演してるのはサンボマスターの近藤洋一と、なかなか豪華。

途中、ギター&ボーカルの種田=高良くんが歌う場面が少しだけあるけど、これはちょっと微妙だった。同時期公開だった『BANDAGE』でもギタリスト役だった高良くん、ギターはともかく歌のほうは…(汗)逆に、宮崎あおいちゃんのボーカルは、まっすぐでとても良かった。上手いかっていわれると微妙だけど、のびのびしていて心を打つものがあった。

なので、終盤のライブシーン、サビにかかる部分で突然回想シーンを挿入したのはちょっと残念。ライブシーンはもっとじっくりたっぷり見せても良かったんじゃないかなあ。いくつかぐっとくる場面もあったけど、なにかがちょっとだけ惜しい感じがする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  邦画
感想投稿日 : 2020年9月23日
読了日 : 2020年9月22日
本棚登録日 : 2020年9月23日

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