さよなら渓谷 [DVD]

監督 : 大森立嗣 
出演 : 真木よう子  大西信満  大森南朋  鈴木杏  井浦新  新井浩文  鶴田真由 
  • キングレコード
3.24
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感想 : 121
4

2013年 日本
監督:大森立嗣
原作:吉田修一『さよなら渓谷』
出演:真木よう子/大西信満/大森南朋/鈴木杏/井浦新/新井浩文
http://sayonarakeikoku.com/

大森監督はおそらく人によって激しく好き嫌いの分かれる作風だけれど、個人的にはとても相性が良いようで、今作ももれなく良かったです。レイプ加害者と被害者の歪んだ関係、贖罪と愛情の境界。ちょっとキム・ギドク的テーマでしたが、ほどよく理解しやすく昇華されていたんじゃないでしょうか。

観客としては、いびつすぎる主演カップルの心情に感情移入することは難しいし、とくに女性は真木よう子演じるかなこの過去については想像することさえ苦痛な場合もありますが、そこで有効なのが、彼らを取材する記者として登場する大森南朋&鈴木杏ちゃんのコンビ。「なぜかつての加害者と被害者が一緒に暮らしているのか?」という謎を一緒に追う立場=観客の視点代理として、ベタだけどわかりやすい設定だったと思います。原作未読ですが、そこは原作者の構成の上手さでしょうか。

真木よう子はハマり役でした。しいて欠点をあげるならナイスバデーすぎて薄幸感がうすれるとこくらい(笑)。大西信満、あんまり知らない俳優さんですが、それで逆に役者本人を意識せずにドキュメンタリー感覚で見れたかも。大森南朋は、もはや上手くて当たり前。鈴木杏ちゃんは「軽蔑」や「まほろ~」での背伸びした役柄は合ってなくて微妙でしたが、こういう普通の女の子役だとやっぱり上手いですね。井浦新のDV夫役にはびっくり。

ラストの解釈は人それぞれでしょうけれども、個人的には救いはあったと思う。そもそも、レイプ加害者は彼一人ではなく複数人だったわけで、他の3人は知らん顔でのうのうと人生を謳歌してるわけですよ、でもその中のたった一人でも、罪を償いたいと思い、その罪の意識から逃れられないことで被害者同様苦しんでいるとしたら(もちろん自業自得ではあるのだけれど)、それだけでもヒロインにとってはささやかな救いとなり得たのではないか。出会いかたさえ違えば・・・と思わなくはないけれど、しかし最後に記者が投げかけた質問の答えは、もはや明白だったと思います。自分は絶対に陥りだくないけれど、そういう愛のかたちもあるのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  邦画
感想投稿日 : 2014年4月23日
読了日 : 2014年4月22日
本棚登録日 : 2014年4月23日

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