クソみたいな現実をあざ笑うような悪というほど壮大でもないいたずらを仕掛けては現世に介入してくる悪魔。
と現実からつまはじきにされたあげくに、悪魔によってしか救われない巨匠とマルガリータの愛の物語。
シュールで滑稽なドタバタ劇と、ずずんと重い鉄球が足かせについているようなロシア的暗さがごくごく当たり前に共存しているような世界観、とでもいいましょうか。
人は人の手によっては救われることはない。より高次のものに救いを求めるしかないし、それに気づかないものは夜中に不安に苛まれながら月を眺めるだけ、というなんだか残酷な物語でもある。
悪魔の舞踏会で繰り広げられる華々しくも重々しい鮮烈な場面の描写とか、なんだかとてもロシア的な重厚さがあって素敵。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年4月29日
- 読了日 : 2015年4月29日
- 本棚登録日 : 2015年4月17日
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