沖縄の両親をもち、内地で育った著者の、沖縄の食をめぐるエッセイ。沖縄関係のエッセイでいちばん心地よく読めた一冊だ。料理とは、レシピが残っていても、それを作り手がいなくては、思い出の中の味になってしまうものだ。それがいつまでもきらりと光る味なのか、心の奥底で鈍く光る味なのかは、いろいろだ。ひとつひとつの逸品料理が失われてしまって、食べられないのはとても悲しいけれど、想像するとゆたかな気持ちになれる、そんな一冊。
沖縄料理では、じーまみ豆腐が最も好きだから、おばあの柔らかだけど年季の入った手で裏ごされる味わいを想像してしまって、ますます虜になった。
じーまみ豆腐は、沖縄に行ったときに、私がそのお店のレベルを測るのに試す料理でもある。スーパーでパックで売ってるやつや、下手な観光客相手の店だと不味くて食べる気が失せるのだ(ちなみに漁港とかで売ってるやつは安いのに結構イケる)。それもそのはず、とても手のかかる、ハレの日のごちそうだと知ったのだった。
私はいつだって美味しい、手作りのじーまみ豆腐が食べたいし、この本を読んでからは作ってみたい、と思うようになったのだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
料理
- 感想投稿日 : 2013年4月13日
- 読了日 : 2010年3月3日
- 本棚登録日 : 2013年4月13日
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