なっかなかの衝撃作な気がする…
直治の遺書、からのかず子の手紙。ひゃーっ…!
最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも”恋と革命のため”に生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。
4人4様の滅びの姿を描く…。
「民衆の友」になりたくて、周りに馴染もうとしたものの、うまく生きることのできなかった直治。「僕は、貴族です」と言って死んだ直治がなんだか哀れで、不憫で…最後の遺書は少し泣けました。
貴族育ちがコンプレックスの直治と田舎育ちがコンプレックスの上原との対比…各々苦悩して生きているのにわかりあえないものだなぁ。
かず子の成長の物語とも読めますが、私はもうかず子が怖くて怖くてしょうがなかったです。
死に向かう直治に対してなんて生きる力にみなぎっている女性なんだろう。
どんどん強くなるかず子、そして貴族の強い時代の終わりを告げるかのようにどんどん弱っていく母。
母娘の共依存みたいな関係性もちょっと怖かった…
母、かず子、直治、上原、みんなどこか痛々しい。
それぞれの立場でこの時代の変容について考えるのもおもしろいのかも。
そういう風に難しく考えずとも、読んでいて普通におもしろかったです。
太宰治の文章って、嫌いじゃないかも。と思えた一冊です。
もう一度、じっくり読もうと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年10月15日
- 読了日 : 2015年10月7日
- 本棚登録日 : 2015年9月28日
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コメント 1件
あいさんのコメント
2015/10/16