2003年度三島由紀夫賞受賞作。
女子高生が幼馴染に恋している事を再確認し、その想いに悩まされる。そんな中、街では中学生狩り(アルマゲドン)やら、グルグル魔人やら、同級生は誘拐されてるわで、恋に専念できない。もう無茶苦茶。かなりカオス!笑
この人の文体かなり独特。イメージしてるものも独特。
「死ね」とつい言ってしまう若者の短絡的なアホな思考をそのまま話し言葉で書かれているから、かなりアホっぽい文章。ウンコパン三世のテーマ(ルパン三世の替え歌)を歌ったり、ヤベーとかマジとか死ね、殺すとか知的な要素が低い言葉で成り立っている文章が多い。
でも良く読んでみると実は深いことを言ってたりする。
誰しもが狂う可能性はある。君と僕の区別をするものは無くて、ただ人間なんだ。(性別っていうのも凄くあやふやな時代になってきてるし)
だから、例えば酒鬼薔薇聖斗のような残虐非道な事件を観て正に傍観者の立場にいる自分も酒鬼薔薇聖斗とどこかで繋がるものがあって、自分もその心の中に仕舞い込まれている暗い闇を吐き出す可能性だってある。そこで吐き出さないように努めなければならない。
う〜ん、難しい。こんなような哲学めいた話をあの独特な文体で描いちゃうギャップが面白い。
あと仏教の解釈が面白かった。
キリスト教は何か悪い事をしたら、即その人に罰や試練を与えて更正しようとするが、仏教はその人が改心するのをただ待つ。ずっと悪い事ばっかするのは大変なので、ちょっと良い事もしちゃう。良い事をするって言うのはいい所を持ち合わせてるんだ。いい所を持ってる人は良い人だ。だから長い目で改心するまで待ちましょうってのが仏様。なんだか救われる感じ。どんな人でも、良いとこあるんだよって。
この作品は好き嫌い分かれるだろうな。ぶっ飛んでる作品だけど、読者もぶっ飛ぶようにすぐ読んでしまうと思う。
- 感想投稿日 : 2008年6月28日
- 本棚登録日 : 2008年6月28日
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