たった一文(もしくは数行)で、読み手の想像力が無限に喚起される。種田山頭火や尾崎放哉などの自由律俳句を読んでいるような、そんな気分にさせられる。説明はまさに蛇足であり、読み手にすべてを委ねた姿勢は潔く、そして、言葉の力、面白さを存分に味わうことが出来る。
私が好きな作品は以下6作品。
※ネタバレ含みます。
「メールで始まった恋は、最高裁で幕を閉じた。」
「子どもが母親にお菓子をねだっている。おばさんはカートを体のように扱っている。肉に半額のシートが貼られた。レジは空いている。私はスーパーでフラれた。」
「朝顔は咲かなかったし、君は来なかった。」
「父の七回忌に、私にそっくりな女が焼香に来た。」
「友人がそろばん教室に通っていた頃、私はビームを出す練習ばかりしていた。」
「プールに浮かぶ月は彼女のバタ足にゆらゆら揺れた。」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年8月8日
- 読了日 : 2017年8月8日
- 本棚登録日 : 2017年8月8日
みんなの感想をみる