大暴落 ガラ

著者 :
  • 中央公論新社 (2017年3月8日発売)
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感想 : 22
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元債券ディーラーであった、この本の著者の幸田女史によるもので、今から15年以上前にだされた「日本国債」という本を読んで、日本政府の債務がどんどん増えていることを知ったのが思い出されます。

この本は今年(2017)三月に単行本化されたものですが、初出は2016年にネット上で公開されたものの様です。この本では、大学教授をしていた主人公(女性)が財務大臣として招かれて、その後、官房長官を経て総理大臣になったところから始まります。

総理就任早々に、自然災害(台風による大雨)と、突然の円安、国債暴落にいかに対処したかがポイントで、彼女の昔の財産(経験と人脈)を活用して素晴らしい対応をして乗り切る、というストーリーです。

この本でも既存メディアは、後出しジャンケンのように批判するばかりですが、一方で、外国メディアやネット、ケーブルテレビ等では正当に評価する、という面も描かれていて、現代の状況をよく表していると思い楽しく読ませてもらいました。

日本の危機を救ったのは、理論や決まりきった手順書ではなく、周りの協力を得ることを最大限努力しながら、最後は自分の強み(経験とそれに裏打ちされた人脈)を活かすことにあると痛感しました。

台風・大雨で家を流されてしまった人達の対策として、通常ならばある程度時間をかけて仮設住宅を建てるのが常道なのでしょうが、この小説では、日本の船舶会社が持っている客船を仮住まい、として提供されていて、素晴らしい発想だと思いました。実際の災害の時に、役立ててほしいなと思いました。

さて、本日は台風が迫っている中、平成に変わる次の時代を左右することになり得る、衆議院選挙の日です。自民党が大勝して、公明党と連立しながら、日本も少しずつ変わっていくような気がしますが、果たしてどうなるのでしょうか。今日の夜は選挙速報を観たりして、夜更かししそうです。

2017年10月22日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・歴史小説
感想投稿日 : 2017年10月22日
読了日 : 2017年10月22日
本棚登録日 : 2017年9月18日

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