経済は「お金の流れ」でよくわかる: 金融情報の正しい読み方 (徳間ポケット)

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  • 徳間書店 (2013年7月24日発売)
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日本政府の国債残高が発表される度に日本が破綻する等の本が出る中で、それをキッパリと以前から否定されてきた一人が、この本の著者の岩本女史です。彼女は国債のディーリングに関わってきただけあって、国債の利率が実際にどのような影響を受けるか(p144)を詳細に解説してくれています。

更に、彼女は現在(2013)のアメリカで進行中のシェールガス革命を踏まえた上で、アメリカや欧州がどのような成長を遂げるの見通しを述べています。特に、シェールガスオイル生産時の環境問題について、しっかりと指摘した(p41)、私が読んだ中では初めての本でした。

東京五輪の開催が2週間ほど前(2013.9)に決まりましたが、これが日本経済にどのように影響するでしょうか。近い将来に発行されるであろう彼女の新作にも期待したいですね。

以下は気になったポイントです。

・アメリカでのシェールガスには採掘時に有毒ガスが発生すること、地盤沈下を起こすこと、大量の水を必要とすること、使用した水を地層に戻すときには有毒物質に汚染されることが問題である(p41)

・2012.12までに決定された日銀緩和策が予定通り、2013年末まで実施されると、日銀が持つ国債の総資産のGDP比は40%以上であり、FRBの25%よりも積極的である。(p55)

・サブプライム危機が落ち着いて2010.8以降、中国は再度通貨バスケット制度に変更し、切り上げ変動幅制限をプラスマイナス0.5%から1.0%に緩めている、当初0.3%を考慮すると中国当局が人民元高になったも構わないというサインを出していることになる(p70)

・東日本震災後に世界の自動車メーカを最も困らせたのは、自動車用塗料用顔料「Xirallic」の生産工場が操業停止となった、これはいわき市小浜工場のみで生産されていたもの(p81)

・国債暴落から財政破綻に至るという議論にありがちなのは、国債を売って手元に残った円の行方についての議論が欠如している、お金が消えるわけではない(p100)

・政府の借金のうち可及的速やかに返済できるかどうかを考える必要があるのは、特例国債の425兆円余り(p112)

・2002年に財務省が財政破綻しない根拠とした3つの数字(経常黒字、対外純資産、外貨準備)のうち、経常黒字以外は強くなっているのが現状(p131)

・変動金利国債は3タイプ発行(15年、10年、物価連動債)されていて現在残高は52兆円(全合計:617)、金利が変わっても政府利払いに影響するのは全体の1割(p135)

・オランダでチューリップバブルが起きるには、大量のお金の存在が必要、80年戦争を経てスペインから独立したネーデルランド連邦共和国は、オランダ東インド会社による香料貿易が栄えていた(p158)

・ギリシアをEUに取り込みたかった最大の理由は、安全保障に関わる地政学的なものがある、ロシアに近いだけではなく、カスピ海や黒海から原油や天然ガスを輸出するパイプラインの通り道であるから(p201)

・1998.1ロシアはデノミを行った、1000分の1にした後に、1ドル=6.2ドルに設定、上下15%の変動を許可する管理フロート制に移行した、1998.8.17には90日間の支払い停止を行った(p242)

2013年9月22日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年9月22日
読了日 : 2013年9月22日
本棚登録日 : 2013年9月7日

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