勝手に選別される世界――ネットの「評判」がリアルを支配するとき、あなたの人生はどう変わるのか

  • ダイヤモンド社 (2015年12月11日発売)
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数年前からRettyというサイトに、主に昼食を食べた記録として簡単なコメントともに投稿しています。知り合いでもないのに多くの人に読んでもらっているのに驚いています。

これがネットによる「評判」の一種なのでしょうか。この本では、自分の書いたコメント等が、知らない間にコンピュータによって評価されて、それが多くの人の目に晒されることになることのリスクについて解説しています。

このような変化は最近の5年間に起きたものです、私たちが利用しているネットはこの数年でものすごく便利になりましたが、それに対するリスクも理解しておくべきだと感じました。ある意味で、今年、最も衝撃を受けた本でした。

以下は気になったポイントです。

・きたる将来を支配するのが、もっとも多くのデータを集める企業や個人ではなく、膨大なデータセットに意味を見いだせる者=ビック・アナリスト、である。ビックデータが金鉱の上に座っていることを教えてくれるものとすれば、ビックアナリシスは、それを掘り出して金の延べ棒にしてくれるもの(p15)

・評判が貨幣や権力よりも重要になりつつある世界で、どうしたら「評判上手」になれるか、を説くことが本書の目的である(p19)

・あなた自身の評判は、あなたにとって意味があるのにとどまらず、あなたに関わりがあるすべての人にとっても意味を持つ(p22)

・パンチカード(1890年)は、国勢調査のデータ処理にかかっていた時間を8年から1年にまで短縮した、これは1960年までデータ保管による最先端技術の座を譲らなかった(p38)

・デジタルデータは、削除するのではなく、丸ごと無期限に保存するのがデフォルトとなった。(p52)

・ビックアナリシスから身を守るためには、自分が電子的に行うあらゆることは記録され、永久に保存される。更に、過ちの告白はしないようにする(p64)

・最も良い戦略は、コンピュータやスコアリング・アルゴリズムからネガティブ情報を隠すことではなく、ポジティブな情報によって自分では制御できないすべてのネガティブデータの力を失墜させて相殺する(p102)

・コンテンツは新鮮に保ち、定期的(できれば毎週)更新する。面白いと思った記事へのリンクを、短い要約つきで載せると良い(p133)

・応募する際には、求められているスコアの幅を知ること、多くの場合、高すぎるスコアをマークすることは、低すぎるスコアをマークするのと同じくらい損する可能性がある(p151)

・応募者が参加していたチームの成績を、応募者が参加していなかったチームの成績と比較すれば、その人が果たした貢献(あるいは貢献を果たさなかった事実)を導き出すことができる(p157)

・カーン・アカデミーのモデルは、必修科目や学期はなく、学生は自分のペースで学習ができる。1時間の講義の代わりに、一コマ15分のひと口サイズのミニ単位に分割されている。45回にわけて履修する科目は、192回のミニ講義に分割されている(p191)

・エアービーアンドビー等のピアツーピアサービスが人気を獲得していることは、ホテルの宿泊客・レストランの客・アパートメントの賃借人としてのあなたに関するレーティングが、公表されて即時に入手可能になるだけでなく、消せないものになるという世界が近づいていることを知らせている(p214)

・レピュテーション経済では、人生のある面で引き起こした愚かな決断の影響は、人生のさまざまな局面に波及する(p238)

・ヒュンダイが駆動系の保証期間を10年間にしたとき、品質が向上したという問題については殆ど触れず、保証についての比較であった(p289)

・個人の評判について、1)比較手段を他人に選ばせないこと、2)会話のテーマをコントロールする(p300)

・究極的に、最もポジティブな方法で最も目立つことができるのは、ほかの人にはない、あなた独自のものを提供したときである(p312)

2016年12月24日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・生活・労働
感想投稿日 : 2016年12月24日
読了日 : 2016年12月23日
本棚登録日 : 2016年12月21日

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