社内会議で話題になった本で、オフィスで貸出していたので読んでみました。チームが機能不全に陥る5つのポイントを克服することで、チームがまとまって業績を上げていくということを実例を通して物語風に解説しています。
5つの機能不全とは、1)信頼の欠如、2)衝突への恐怖、3)責任感の不足、4)説明責任の回避、5)結果への無関心です。最も大事でベースにあるのは、一番目に指摘されている「信頼の欠如」です、これを克服するには各チームメンバーがチーム員に対して、自分の弱みを見せて、助けが必要な時にはそれを求めることができる信頼感が必要とのことです。そして、皆で合意した「結果」に対しては、達成することに関心を持ち続けることが大事ということでした。
旗振りにはリーダーの振舞いが大事で、時にはチームの発展のために冷酷な決断をする必要があることは、物語の中で書かれていました。当初横断的な組織のトップで形成されたチーム員は、何度にも渡る会議の中で、一人が自主的に退職、そしてチームの輪を乱していた一人は首切りを宣言されています。さらに創業者の元CEOはメンバーからも外されました。リーダーには適正なメンバーによる効率的な運営も任されているようです。
本のケースでは、ほかのメンバーの気持ちを確認したうえで行われた決断のようですが、日本ではどうなのでしょうか、と思いながら読みました。日本のチームもこのような決断ができなければ元気の良い国に抜かれていくのかもしれませんね。章を追うごとに身が引き締まった気分になった本でした。
以下は気になったポイントです。
・競争における究極の武器はチームワークである、それほど強力で稀少なものである(p1)
・チームワークも理屈の上では単純明快な行動パターンを習得するだけであるが、それを日々実践することは極めて難しい。機能不全のもとである政治的かけひきを生み出す人間的な行動性向を克服したグループだけが成功を手に入れられる(p2)
・幹部会議で議論が起きないこと、チーム内で対話が少ないことの方が信頼が欠けている現れである(p46)
・技術の問題ではなく、態度の問題である(p52)
・個人の歴史に関する質問として、出身地、子供の数、子供だった頃の変わった趣味、成長する過程で困難だったこと、最初の仕事等(p54)
・目標となるカテゴリーとして、売上高・経費・新規顧客獲得数・既存顧客満足度・社員維持率・市場の認知度・製品品質(p83)
・政治的とは、自分が本当にどう考えるかではなく、ほかの人にどう反応して欲しいかによって、言葉や行動を選ぶこと(p94)
・絶えず問題を切り抜け衝突を繰り返した結果の調和であれば良いが、自分の意見や正直な不安を押し殺した結果ならば「表面的な調和」であり良いことではない(p98)
・5つの機能不全のうち、一つでも脆いところがあればチームの成功は絶望的になる可能性がある(p206)
・結果への無関心が起きるのは、メンバーがチーム全体の目標よりも個人のニーズ(自尊心、キャリア開発、評価など)や自分の部門のニーズを優先させたときである(p208)
・結束の固いチームは、1)互いを信頼する、2)アイデアを巡って遠慮なく衝突する、3)決定や行動計画に責任感を持って取り組む、4)計画を守らなかった場合、互いの責任を追及する、5)チーム全体の結果を達成することを重視する(p209)
・リーダーが信頼構築をうながすために取るべき最も重要な行動は、率先して弱みを見せる、それにより部下も同じようにリスクをとるようになる(p220)
・健全な議論から逃げないように指導するために効果的な方法として、意見を戦わせているメンバーがその状態を不快に感じてきた時を見計らって、今やっていることは必要であると念を押すとよい(p224)
・リーダーはグループの議論を促して、チームで決めたスケジュールを守る必要がある、確実性や全員一致を重視しすぎないこと(p231)
・説明責任とは、メンバーが仲間に対して、チームに悪影響を与えかねない行動や態度をとがめようとすることを意味する(p232)
・個人の業績ではなく、チームの業績に対して報奨を与えるようにするとチーム内に説明責任の文化が生まれる(p235)
・結果を重視するには、チームとしては、結果とは何かを明確にして、その結果に貢献する行動だけに報いること(p239)
2017年3月26日作成
- 感想投稿日 : 2017年3月26日
- 読了日 : 2017年3月26日
- 本棚登録日 : 2017年3月23日
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