1995年のゲーム恋愛事情。性質としては特異なメインヒロインの復帰で、主人公の環境は一変する。言葉を発さない彼女の存在感はやはり異彩を放って、読者は主人公のするように、自然、彼女の表情の変化を見逃すまいと、目を凝らすようになる。小憎らしい作りだ。作者は読者に、若い恋の酸いを思い出させようとしている。あの一喜一憂を。そしてそれがまんまと成功しているようなのが、悔しい。登場人物たちの気持ちのベクトルは、はっきりしている。誰もが優柔不断でなく、それでも彼らは、その率直さゆえに逆らえない。そのまま、先を見越せない引きに至る。王道極まれば反則へ。彼らの衒いなき感情が、古傷ではない、今も息づく何に響くのか、物語は、いまだ読者に問いかけ続ける。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2013年1月19日
- 読了日 : 2013年1月18日
- 本棚登録日 : 2013年1月18日
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