ストリートを駆けるクール&ライトな短編
読了日:2006.03.26
分 類:連作短編
ページ:270P
値 段:1524円
発行日:2003年3月発行
出版社:文藝春秋
評 定:★★★+
●作品データ●
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主人公 :真島 誠
語り口 :1人称
ジャンル:ミステリ風ライトノベル
対 象 :一般向け
雰囲気 :都会のストリート
結 末 :1作完結の連作短編
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---【100字紹介】------------------------
ギャングの息子を殺されたジャズタクシー運転手が座り込み、
潜りの少年デリヘルが生き抜き、謎の人体損壊DVDを追う
ネットおたくが上京してくる池袋。ストリートの危険な青春を
クール&ライトに描くシリーズ第4弾
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●収録作品一覧
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・東口ラーメンライン
・ワルツ・フォー・ベビー
・黒いフードの夜
・電子の星
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池袋ウエストゲートパーク(IWGP)の第4巻。このシリーズはすべて短編から中編程度の長さの連作小説。長編は今のところありません(と思います)。ドラマ化もされた人気作であり、著者・石田衣良氏の代表作でもあります。
主人公のマコトは、ヤクザの予備校のような地元工業高校を何とか卒業した青年。高校時代にちょっとした傷害罪で警察に指紋が残されるくらいにはやんちゃ(?)な人柄。池袋駅西口前のさびれた商店街で、母親の営む果物屋を手伝いつつ、ストリート誌にコラムを書きつつ、池袋のストリートでのトラブル・シューターもやらされています(?)。
親友のタカシは池袋のギャングボーイズ(Gボーイズ)のキングで、同級生の元いじめられっ子のサルは今ではヤクザとして売り出し中。多彩な半レギュラーメンバーが出番を待ち構えているのです。
1作品につき1つの事件を追いかけ、その顛末が描かれる形式。どれもストリート、特に最近の若者にスポットを当てて社会事情(?)を鑑みたトピックが選ばれています。この第4巻ではネットで中傷され被害を受けるラーメン屋や、違法デリヘルをやりつつも生活苦にあえぐ外国人一家など、いかにも現代的な問題が取り上げられています。文章は1人称ですが、主人公は「池袋のいまどきの若者」なので、「根はいい奴」だけど平気で手も出るし足も出るし、あまり褒められないような「常識じゃない常識」を持っていたりします。そういう点が、むしろ新鮮で、生き生きとしているのです。
売りはテンポのよさ。文章は軽快な話し言葉。展開も速いです。ただ、短編におさめるためか、終盤はやたら都合のよい展開で締めくくられます。ミステリを期待すると、肩透かし的。あくまでライトノベルとして楽しむべき作品だと思います。
それと!やや気になっていることは、シリーズが進むにつれて妙にマコトが賢くなっていること!でしょうか…(^ ^;)。やたら趣味がよくなっていたりするし。ちょっと笑えます。
「水戸黄門」のようにある程度決まった展開があって、いつも「お約束どおり」に収まる感覚は、安心感があります。エンターテイメントとして、空き時間に楽しむによい作品。
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★+
展開・結末 :★★
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★+
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…タカシ
「タカシ、おまえのは地でやっているだけだ、
どこが演技なんだ。」 (真島 誠)
自分の演技は怖かったか?と言うタカシに。
- 感想投稿日 : 2009年10月20日
- 読了日 : 2009年10月20日
- 本棚登録日 : 2009年10月20日
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