西側へ豪華列車旅行!が陰謀に巻き込まれ…
読了日:2006.12.14
分 類:長編
ページ:各226P
値 段:各510円
発行日:2004年3月、5月発行
出版社:メディアワークス電撃文庫
評 定:★★★
●作品データ●
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主人公:ヴィルヘルム・シュルツ
アリソン・ウィッティングストン
語り口:3人称
ジャンル:異世界ライトノベル
対 象:ヤングアダルト向け
雰囲気:賑やかな
結 末:ハッピー・エンド
イラスト:黒星 紅白
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---【100字紹介】----------------------
シリーズ第3弾、完結編。東西の戦争終結後、
ついに民間人も西側へツアー参加できる時代がやってきた。
招待を受けて列車に乗り込んだアリソン達だったが、
列車内で殺人事件が!陰謀に巻き込まれて行き着いた先は…。
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アリソンのシリーズ第3弾、そして完結編。
世界はたったひとつの大陸から成っていて、その大陸の中心は南北に越えがたい山脈と大河が流れていて、不完全に独立しているという設定。東西にはそれぞれを憎みあい、戦争を続けていた大連邦が1つずつ。そんな世界が舞台の、異世界ファンタジーです。
主人公の東の連邦に住む17歳の優秀な学生の少年ヴィルと、同じく東の連邦の、はちゃめちゃで元気いっぱいの空軍の少女アリソンは、前作でもキー・パーソンになった小国の次期女王フィオナとともに西側の空軍少佐・カー・ベネディクトに招待され西側への列車旅行へ。戦争が続いていた東西は、ヴィル、アリソン、カー少佐によって和平をし、ついに民間人も行き来できることになったためです。
序盤はひたすら、豪華列車旅行の旅!あわあわ、いいなあっ、いいですねえっ。こんな列車旅行、してみたい~と思うことうけあいの超贅沢な旅でございますよ~。豪華な室内!個室内にはベッドはもちろん、ソファーもテーブルもあって食事も出来ますし、シャワーも完備。1車両には2組分しかお部屋がないのですが、この2組のためだけに働いてくれる乗務員さんも常駐。紅茶でもおやつでも、かゆいところに手が届くいい感じのタイミングでささっと出てきてしまいます。食堂車もまったく別のデザインのものが2つ。バーの車両もありますし、見晴らしのいい展望車も。食事はすべて料金込みで、しかも毎日沢山のメニューから自由に選ぶことが出来ます。中身も高級レストランなみ。ちょっとリッチな旅の気分を満喫できます。
そして、事件は起こり…怒涛の展開。いや、でもちょっと待て!もっと怒涛というか、ショックだったのがプロローグですから!きっと驚かれると思います。えぇぇぇぇ~、何が起こった!?何でそうなっているの!?というプロローグです。何と、当シリーズではすっかりおなじみのある人物のお子様の一人称で始まる未来のお話なのです。そしてその中で、あの人が…!そんなどっきどきのプロローグで始まる上巻ではしかし、この内容がまったく分からずただただどきどき。お楽しみ(?)は下巻へ。そして下巻のエピローグに答えは用意されているのです。さあ、みんなエピローグまで駆け抜けるんだ!…ってところでしょうか。
哀しいこと、綺麗ごとでないこともこんなに沢山出てくるのに、キャラの明るさですべてが救われて、愉しく読める作品です。設定の甘さは最後まで気になりましたが、エンターテイメントだと割り切ればこんなものでしょう。そこまできっちり書ききったら、もはや電撃文庫に並べておくのは勿体無いかも!?
おっと、最後にもうひとつ。
ヴィルの友人は…ついに名前が出てきませんでしたが、前回覚えた期待を裏切らない、素敵なキャラとして再登場ですよ。いや、名前くらい出してあげようよ!…なんて思いつつ、名前がないからこそ、ここまで気になるキャラだったのかも…なんて思いなおしてみたりもする菜の花なのでした。
次は、続シリーズ!?
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★+
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★+
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菜の花の一押しキャラ…ヴィル
「それは、分かりますよ…」
「ん、何が?」
「遺書ってものの”嫌”さが。
私もかつて作戦の前に書かされたことがありましたからね…。
あれは嫌なものです…。とても嫌なものでした。
自分の死んだ後に、自分の想いだけが相手に届いて、
それでどうなるっていうんだと思いました」
(アリソン・ウィッティングトン&ストーク・フレン)
- 感想投稿日 : 2010年3月11日
- 読了日 : 2010年3月11日
- 本棚登録日 : 2010年3月11日
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