道をひらく

著者 :
  • PHP研究所 (1968年5月1日発売)
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【読もうと思った理由】
言わずと知れた「経営の神様」と言われている、松下幸之助氏。その松下氏が多くの著作を残した中で、最大の販売部数を誇るのが、この「道をひらく」だ。その数なんと550万部越え。正直、自己啓発本は、若い時から飽きるほど読んできたので、最近は全く読んでいなかった。ただ松下幸之助氏のことは、考え方や思想を含め、もともと尊敬していたことと、小説以外の書籍で販売数が国内歴代1位なのを最近知り、興味を持ったため。

【内容】
昭和43年の発刊以来、累計553万部を超え、いまなお読み継がれる驚異のロングセラー。本書は、松下幸之助氏が自分の体験と人生に対する深い洞察をもとに綴った短編随想集(エッセイ)である。
元々はPHP研究所の機関誌「PHP」の裏表紙に、連載してきた短文の中から、121編を選んでまとめたもの。

【松下幸之助氏とは?】
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電燈(現関西電力)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電気器具製作所(昭和10年に松下電器産業に改称)を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。昭和54(1979)年、21世紀を担う指導者の育成を目的に、松下政経塾を設立。平成元(1989)年に94歳で没。

【読後の感想】
多分、今の年齢より10歳ほど若いときに読んでいれば、「何か良いことが書いてあったけど、よくある売れている自己啓発本と内容が一緒じゃないの?」と思っていた可能性が多分にある。実際に書かれている内容は、よくある自己啓発書や、偉人の名言集的な本を、何十冊も読めば、正直そんなに遜色はない。

だが、ある程度人生経験を重ねた今の年齢になって本書を読むと、一文一文が心に響く。
では「何故ここまで心に響くのか?」自分の中で明確な答えが分かっていなかった。自分の中で考えが纏まるまでは、感想はアップしないでおこうと思った。
自分の中で腑に落ちるまで、それこそ本書をここ数ヶ月、何回も読んでいた。漸く自分の中で納得のいく回答が出た。
それは、「重要なのは何を言うかじゃない、誰が言うかに尽きる」と言うことだ。そう、誰が言うかによって、言葉に対する重みがまるで違ってくるんだと思う。

例えば、今日初めて会った初見の人に、何か説得されたとしても、そもそも相手の人に対して、信頼も信用も出来ていないので、どんな言葉巧みに説得されても、半信半疑の気持ちでしか聞けないと思う。
だがこれが、10年以上付き合っている人生の恩師から、全く同じことを言われたとしたら、多分素直に受け入れるんだと思う。

結局、人間関係で一番大切なのは、相手を信じれるかどうか、これに尽きると思う。
ではどうすれば、相手から信じてもらえる?→上記に対する現段階の自分の答えは、人格レベルを上げていくしかないんじゃないかということだ。全世界で3,000万部以上売れた7つの習慣でも人格が最も大事であると説いている。
では具体的にどうやって人格レベルを上げていけば良いの?に対する方法が、具体的に分かりやすく書かれているのが、本書となる。

前置きが長くなってしまいましたが、人格を上げる指南書としては非常に良書だと思います。下記に特に心に響いた部分を一部抜粋で記載します。

人もまたさまざま。さまざまな人があればこそ、豊かな働きも生み出されてくる。自分と他人とは、顔も違えば気性も違う。好みも違う。それで良いのである。違うことをなげくよりも、その違うことのなかに、無限の妙味を感じたい。無限の豊かさを感じたい。そして、人それぞれに力をつくし、人それぞれに助け合いたい。(P.21)

お互いにこの世における人と人との繋がりを、もう少し大事にしてみたい。もう少しありがたく考えたい。不平や不満で心を暗くする前に、縁のあったことを謙虚に喜びあい、その喜びの心で、誠意と熱意を持って、お互いの繋がりをさらに強めていきたい。(P.57)

自分の持っているもので、世の中の人々に精一杯のサービスをすることである。頭のいい人は頭で、力のある人は力で、腕のいい人は腕で、優しい人は優しさで、そして学者は学問で、商人は商売で…。どんな人にでも、探し出してくれば、その人だけに与えられている尊い天分というものがある。その天分で、世の中にサービスをすれば、良いのである。(P.61)

お互いに周りの人の長所と欠点とを、素直な心でよく理解しておくということである。そしてその長所を、できる限り発揮させてあげるように、またその短所を、できる限り補ってあげるように、暖かい心で最善の心くばりをするということである。(P.62)

などなど、上げればキリがないので、少しでも心に響いた方がいらっしゃれば、本当に良い本なので、本気でオススメ致します!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月7日
読了日 : 2023年3月7日
本棚登録日 : 2023年1月26日

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