正確な比喩表現や、散りばめられた詩的表現は多いが全体としては疾走感あふれる脱獄劇として存分に楽しめる。人間はどんな環境にも適応できる、単純な善と悪という構図の崩壊、など人間の特性としての真理に似たものを提示している。砂の穴の中という世俗的世界とは相反する狭い世界に幽閉されることによって、これまで自分がいた世界の普通の概念が歪められる。穴の中という何も無い世界は不幸せという物質社会からの脱却も示唆しているように感じた。こんなにも社会や人間に対しての示唆が豊富かつ、物語の読みやすさも両立したものは初めて読んだ。
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- 感想投稿日 : 2019年12月11日
- 読了日 : 2019年12月11日
- 本棚登録日 : 2019年11月7日
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