クローヴィス物語 (白水Uブックス)

著者 :
  • 白水社 (2015年4月2日発売)
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感想 : 14
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鴎外の「文語体が読めない」ってことで妻にこれを渡したんだけれど、すぐに「これも読めない!」って返ってきて、じゃあ富山旅行中(もう1週間たったの?)に読んじゃおうと思ったものの、たしかに読みにくくて返却日までかかっちゃった。

アマゾンのレビューにも読みにくいってあるし、なかには「これほど頭に入ってこない小説って初めて」って人もいたり。なんだろ? ぜんぜん読めない文章とかじゃないんです。すらすら読めるんだけれど、なんとまぁ不思議なことに、途中から今日の夜ご飯はなにをつくろうだとか、映画は何を見ようだとか、まったく関係のないことを考えちゃう。

で、で、アレ? ってなって、もういちど最初から読み返すと、素晴らしく面白い! 上流階級に暮らす連中の滑稽譚というか風刺物だもん面白いに決まっている。まぁたぶん翻訳の問題なのでしょうね。

ヒントになるかわからないけれど、庵野さんの『シン・仮面ライダー』の製作ドキュメンタリーを昨日みたところ、「型」にこだわる専門家さんの殺陣のありように腹を立てる庵野さんがいて、大事なのは「殺す気持ちだ!」って無茶苦茶なことを言ってたんだけれど、この翻訳にもソレがないんじゃないかな? その一端をば。

《「抱えあげてやるから」グロービーがそう持ちかけた。「手をのばして服を取りなさい」承知した少年の腰をがっちりつかみ、さも抱えあげてやるふりで地面から足を浮かせた。それから器用に弾みをつけてイラクサの大きな藪にどさりと投げ入れ、全身を痛痒いイラクサまみれにした。ひどい目に遭わされた方は、感情を抑えるたしなみをしつける学校に通うような生まれ育ちではないので_野生の狐に急所を噛まれでもしたら、すぐさま手近な狩猟委員会へ苦情に駆け込むタイプだ。だからこの場合、痛みと怒りと驚きに任せてとんでもない大声をあげ、気がすむまでわめき続けた。が、その声にもましてはっきり聞こえたのは、樹上の憎たらしい猿が勝ち誇ってはしゃぐ声と、けたけた高笑いするグロービーの声だった》

他の訳者さんの借りてきます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月21日
読了日 : 2023年4月21日
本棚登録日 : 2023年4月21日

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