殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ロ 1-8 ザ・ミステリ・コレクション)
- 二見書房 (1998年9月22日発売)
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感想 : 31件
“殺し屋ケラー”シリーズの第1作(連作短篇集)。巻頭を飾る短篇「名前はソルジャー」の冒頭でケラーが飛行機の中で映画を観ているのが気になって、話の筋を追うよりも、ケラーが映画を観ているシーンを探しながら読むモードで最後まで読んだ。
作中の映画を観る場面を抜き出すと、ケラーの“映画との付き合い方”が見えてくるのが面白い。テレビで放送されている映画を途中からでも観るんだ、とか、HBOで放送される映画が観たいのに泊まっているモーテルではHBOが観られないとなるとモーテルを変えようとするんだ、とか。
ケラーが自身の行いを、かつて摂取したフィクションに影響されたものであることを自覚するくだりもあるし、先行する数多の作品群を意識した作りになっているのは間違いない。掉尾を飾る「ケラーの引退」では、ケラーが殺し屋稼業から足を洗って切手収集を始める話。着地の仕方が最高。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年1月29日
- 読了日 : 2022年1月28日
- 本棚登録日 : 2021年11月27日
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