映画『聲の形』Blu-ray 通常版

監督 : 山田尚子 
出演 : 入野自由  早見沙織  悠木碧  小野賢章  金子有希  石川由依  潘めぐみ  豊永利行  松岡茉優 
  • ポニーキャニオン
4.04
  • (16)
  • (22)
  • (9)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 117
感想 : 19

いろんなことが詰まった作品だった。最近読んだどの本とも似ている共通点をこの作品にもみつけた気がした。
関係の希薄さの弊害を。
もちろん濃密さにも弊害があるけど。

主人公の石田の小学生時代から映画ははじまる。
補聴器が必要な女の子の西宮が転校してくる。
誰かがくればクラスの空気は変わってゆく。
本当はそれが誰でも。
不自由で困っているのは西宮なのに、不自由になったのは自分たちだとばかりに結果的に西宮を孤立させる石田やそのまわりの登場人物。

石田は、器物損壊、障害と、大人じゃ逮捕レベルなことでも西宮さんを傷つけている。加害者の代表といえる。

ただ、この映画は傍観者が存在しない。

どう処せば火の粉が降りかからないかよく理解しているように見える。冷たい笑顔で、両方をただ眺めて笑っている生徒が島田。ただ彼は、死にかけた石田を意図的ではないけど救うことになる。好奇心や同調で、石田と一緒に西宮を傷つけてゆく植野。たぶん彼女は石田が好き。西宮を障害があるからというよりライバルと感じているように思える。孤立している西宮のそばに盾のように寄り添うが、石田達のこころない言葉に傷つき結局去ってしまう佐原。学級委員で、他者の痛みや理由を推し量らず、自分の価値観ですべてを測る川井。

日々の生活のルールを守ることでも精いっぱいで、自分の感情のコントロールなど難しい小学生が、担任の先生という良識ある大人の助けがない状態で、少なからずつらい記憶を共有する形で高校生へと成長してゆく登場人物。
親御さんや家族が日々どんな気持ちで愛情を注いでいるか、傷つけられたらどんな気持ちになり、また傷つけたらどう思うのかを、親の立場からも、子どもの立場からも、みえる形でちゃんと伝えられています。
張りつめた気持ちの糸が切れそうになっても、魔がさすおそろしい瞬間がこころを覆っても、本当はひとりじゃないんだと、そんなときこそ思い出してほしい瞬間があること、を伝えている映画に思います。
西宮家も石田家もお父さんの影がなく、事情がありそうではあるけど、このふたりだけでなく、どの生徒も愛情深い家庭に育った子供たちに思える。
ひとりでいきているひとなどだれもいない。生かし、生かされていると伝えられているように思います。
西宮に頼んだ石田の言葉は、みんなにもむけられていているといいなぁと思います。お姉ちゃんが心配で守り続けていた中学生の結弦も、石田に手伝ってもらいたいって伝えて、しっかり勉強にも取り組んで、自分の道を歩きだした。本当に良かった。動きだしたそれぞれの道で、ぶつかることはとても怖いことだけど、そのなかに知らなければならない大切なこともある。知ることや出会うことをおそれないで。と伝えられているように思いました♡早見さんを大好きなお兄ちゃんが借りてきたDVDをみせてもらいました。敬称略ですみません。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年5月28日
本棚登録日 : 2017年5月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする