文庫1-4巻全4冊を通してのレビュー
476年、西ローマ帝国が滅亡し、地中海は群雄割拠の時代へと入った。台頭したのは「右手に剣、左手にコーラン」を掲げ、拉致と略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。その蛮行にキリスト教国は震え上がる。イタリア半島の都市国家はどのように対応したのか、地中海に浮かぶ最大の島シチリアは? 『ローマ人の物語』の続編というべき歴史巨編
巻末の附録にあるように、
本書は地中海の中央にいて東西南北に視線をめぐらせているスタンスの作品である。
イスラム世界のトルコ、キリスト教世界のスペイン、フランス、ヴェネツィア、法王庁の5者+イスラム世界の海賊たちが跋扈する地中海世界で、まだ誰一人として絶対的な力を持ち得ないために混沌とした状態が続いている。
この時代のこの世界のことを、
大まかに理解するためには本書は最適と思われる。
細部まで理解したいという方々のためには、
著者は下記の作品を用意してくれているので、
合わせて読み進めていけばなお一層の理解が深まるだろう。
「十字軍物語」
「海の都の物語」
「コンスタンティノープルの陥落」
「ロードス島攻防記」
「レパントの海戦」
さらに付け加えるなら
「ルネサンスの女たち」
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」
「神の代理人」
「ルネサンスとは何であったのか」
「わが友マキアヴェッリ」
「愛の年代記」
上記の作品はすでに読破済であるが、本作を読むにあたり、再読をし始めているところである。
いずれにせよ、ジグザグ読みが楽しいと思える作品である。
- 感想投稿日 : 2019年5月10日
- 読了日 : 2019年5月10日
- 本棚登録日 : 2019年4月24日
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