動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

著者 :
  • 木楽舎 (2009年2月17日発売)
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大学では経済学部に入学したのに一番影響を受けたのは生物学だった。温和な老教授の講義で楽に単位が取れるから受講者が多く教室は私語で五月蝿く内容もレジュメを淡々と読むものだったが、題材が生命とは何かということで、動的平衡という言葉がキーワードだった。
動的平衡の意味を知りこれだと思ったらあとは早かった。生命は分子の「淀み」であり、生命も「環境」であり、全ては相互作用が時間次元で移りゆくことそれ自体の「効果」を指すのだということは一気に連想されたし、理解できた。
しかしその大元の本書は未読だった。存在を知りつつ10年近く経過してやっと読んでみると、なんだか思ってたよりライトな読み物だ。安易な考え方に陥らないように、と言いつつわりと明確な根拠がないスピリチュアルな、あるいはナイーブな想いの吐露が見受けられる。
どちらかというと、「アンチ◯◯」に与しそうなタイプの文章だ。なんというか、もうすこし冷静な感じの文章の方が好みだ。
本書の結びでは、生命は動的平衡である、ゆえに科学の不可能性が明らかになるとするが、個人的には動的平衡という捉え方を得たのだから、まだそれを観測し干渉するだけの科学的フロンティアはあるのではないかという楽観的な考えを持っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然・科学・テクノロジー
感想投稿日 : 2018年10月1日
読了日 : 2018年10月1日
本棚登録日 : 2018年10月1日

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