どこかで聞いた話をつなげてまとめました、という本。大学生の卒論を、ですます調にした感じ。でも経営者から学者まで、教育本ってどれも似たようなものだから、驚きはしないが。
たとえば序章で教育の目的を「教育は、<自由の相互承認>の感度を育むことを土台にして、すべての子どもが<自由>になるための<教養=力能>を育むためのものです。」(P.31)と言うんだけど、こんなの言い古されていることなんだけどなあ。だから「生きる力」だの「キャリア教育」だの「総合的な学習の時間」だのがでてきてるわけで。今の教育現場はもう一歩先へ行っているのだ。「効率と公正」とかね(これあんまり好きじゃないけど)。
他にも例をあげると、学びの個別化だの多様化だのというけれど、そんなのはみんな分かってるんだよ。「ゆとり教育」だって、もとはそこでしょ。だいたい、できない生徒をケアしつつ頭のいい子には知的欲求を満たすような授業をしたいって、どの教師だって考えるよ。でも、それがなかなか難しいんだよ。それに予算も人手も足りないから、家庭教師みたいにできるわけないしね。学校では自学自習を基本にすればいいとかいうけれど(P.93)、やらない子は本当に何もやらないよ。反転授業の最大の問題点だって、本人の性格や家庭環境によっては全然自宅学習をしてこない生徒がいることだよ。こんなの教員やってれば誰でも気がつくことなんだけどね。嘘だと思うなら実際に教師をやってみなよ。
そう、いつも思うんだけど、学校教育についての本を書きたいなら、5年でもいいから教師をやってみればいいのにねえ。免許さえあれば、非常勤講師の枠なら結構あるし、けっして出来ないことではないよ。教師に社会経験を求めるなら、学者にだって教員経験を必須にしてほしいな。
- 感想投稿日 : 2014年5月14日
- 読了日 : 2014年5月14日
- 本棚登録日 : 2014年5月14日
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