イヤミス、イヤミス、本当にイヤミスです。プロローグで結末は分かっているのですが、それに向かっていく後半の展開が本当につらいです。
ステラがスペンサーに気づかれないように、なんとか彼を操ろうとしている様子は、なかなか面白かったです。ただそれが行き当たりばったりで、あまり知性を感じさせないのはやや物足りない感じを受けました。
その点アルレーの出世作である「わらの女」では、知力と知力のぶつかり合いがありましたので、そちらの方が格上の感じはあります。
とはいえ、「死の匂い」はそういう傲慢で愚かな女が、本当の本当に底まで行って初めて改心するというのも、またさらに愚かしいように思えます。そしてあまりにも愚かしさゆえの悲しさもまた感じます。
そういう意味では同じようなイヤミスである「わらの女」とはまた違った感じを受けました。
じつはスペンサーが…というような展開も予想しながら読んでいたのですが、結局そういう話はありませんでした。それなら最初のプロローグは無かった方がよかったのでは? とも思います。しかしあれがなかったら、中盤の展開は退屈で、読み進められたかどうかは正直怪しいですし、難しいところですね。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリー
- 感想投稿日 : 2024年2月3日
- 読了日 : 2024年2月3日
- 本棚登録日 : 2024年2月3日
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