自分の中にある、場面場面に応じた様々な顔。そこにディヴという名前を与えてしまうと、あたかも複数の人格がいるように考えてしまう。
しかし、本当は自分という1人の人間であり、現象に名前を与えることによって、過度の意識化がなされる。
分人主義という考えはわかるけど、違和感を感じる。その違和感を可塑整形という未来的技術や、監視カメラとネットとのリンクによる人物検索システムなどとからめ、非常に巧妙に描くあたりは、さすがと思わせる。
いろいろな危機の中で、人間関係が崩壊していく様と、なんとか維持しようとするもがく様はいつでも変わらないのだろう。
近未来を見据えた先進技術とそれを受け止める人間の姿を描く予言的書
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
平野啓一郎
- 感想投稿日 : 2010年1月8日
- 読了日 : 2010年1月8日
- 本棚登録日 : 2010年1月8日
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