薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2003年6月20日発売)
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感想 : 490
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久々に読んだ江國香織の作品。9人の女性とその夫・不倫相手といった多くの人物が登場し、その恋愛模様が描かれる。江國香織の他の作品でもあったが、物語の視点が頻繁に切り替わる。この作品は登場人物が多いので、ある場面が描かれた直後、その相手の視点に切り替わることで相手からはこう見えていたのかといった面白さがあった。ある人物と別のある人物の接点ができて、不倫に繋がって・・・といった先の展開も面白かった。
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・主に描かれるのが女性たちの恋愛ということで、あまり感情移入はできなかった。女性たちは怖い。不倫にハマっていく流れ、突然の離婚宣告、不倫相手の突然の妊娠。一人一人のドラマの詰め合わせ。
・多数の人物が登場し、慣れるまで若干ややこしかった。一番若く、そのせいか他の人物との違いが際立つ桜子が印象に残った。でも、登場する女性たち全てがエネルギッシュに感じた。男性では妻が居ながら二人と不倫する土屋保が印象に残った(というより、他の男性が目立たないだけか?)。最終章の後、この人はどんな人生を送るんだろう?
・描かれるのは恋愛だけではない。都会で暮らす比較的裕福な暮らしの人たちの日常の描写が楽しめた。こんな丁寧で穏やかな生活をしてみたいと思う。ただ、丁寧で穏やかでも人間関係はドロドロしているし、どこか満たされていない。
・食べ物の描写が多い。ホームパーティで作ったチーズの餃子、アナズジンジャーシンズというクッキーと生クリーム、フラ印のポテトチップス、などなど。自分でも作ったり買ったりできるものばかり。読みながらもっと書き留めておけば良かった。
・フラワーショップの絡みもあり、花の名前もたくさん登場する。服のブランド名も。見知らぬ単語が出る度に、それらをネット検索しながら情景をイメージしつつ読み進めた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・物語・マンガ
感想投稿日 : 2023年5月6日
読了日 : 2023年5月6日
本棚登録日 : 2023年5月3日

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