実在の人、加藤文太郎による前人未到の日本列島の縦断単独踏破までの上巻。
登山小説における、究極の状態における人間心理や素晴らしい景観、そして死と隣合わせの冒険という特有要素が満載で、大正、昭和における登山行の考え方や道具等細かに描かれており、興味深い。主人公、加藤文太郎の寡黙な人柄は、この小説によって山男の象徴的なものとして人々に記憶されたのではないかと思えるほどにインパクトがある。
プロローグで、加藤か遭難したことを語る人物が、単独で登山していれば間違いはないと述べたことがこの本の確実なラスト展開につながってしまうのを感じてストーリーにやや興味を失ってしまう。山行の合間に描かれる恋愛や会社でのエピソードは物語に起伏を持たせてくれるとともに加藤の人柄よく出ており、興味か深まります。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年6月17日
- 読了日 : 2018年6月14日
- 本棚登録日 : 2018年6月14日
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