岩波現代文庫
宮崎市定 「 論語 の新しい読み方」
著者の孔子像に沿って論語を解釈した本。解釈根拠も明示し自然な解釈だと思う。論語の説教臭さ、人間には実践不可能な理想論、冗長さは感じない。吉川幸次郎 氏の論に近い
学而第一の第一章を、孔子の自叙伝と位置づけ、孔子像を明確にした上で、礼、仁、君子を 具体的に定義している。とてもわかりやすい
天命や天について詳しく論述。「五十にして天命を知る」を「五十にして、人事を尽くして天命を待つ心境を知る」と訳している。なるほどと思う。天は神と同義として、論語を宗教から 人道主義へ展開したものとしている
学而第一の第一章=孔子の自叙伝
*前に学んだところを、時を決めて皆集まって総ざらえする。こんな楽しいことはない
*思いがけず遠方から友人が訪ねてきてくれる。こんな嬉しいことはない
*誰も自負を認めてくれないが、そんなことは気に留めない。そういう境地に私はなりたい
孔子像
*孔子は礼の師〜市政の教育者であり、弟子は就職希望者
*孔子は隠者ではない、弟子の就職を斡旋しなけらばならない実際家
礼とは
*国家的な儀式、個人の家の吉凶祭喪の儀礼
*儀式そのものに含まれた精神〜謙譲の精神
学んで時に之を習う。亦悦ばしからずや
*論語の学習の対象は 礼
有朋遠方より来る。亦楽しからずや
*全く思いがけない遠方からの客の来訪こそ人生の最大快心事
人知らずしてうらみず。亦君子ならずや
*人知らず=世間に認められぬ
*君子=聖人と異なり、現実の社会にいくらも存在する人格者〜努力すれば達する→そういう人になりたいという願望
孔子は人道主義の学問を唱えた
*仁とは、人の道、人道主義、ヒューマニズムのこと
*人の道に対立するのは、神の道、天の道、宗教
*これまで人の道は天の道の中に包含されていたが、独立して人の道になり、天の道に代わって人類を導くようになった
吾十有五にして学に志し〜五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従って矩(のり)をこえず
*天命を知る=人事を尽くして天命を待つ心境
*耳順う=どんな悪口を言われても腹が立たなくなった
- 感想投稿日 : 2022年7月18日
- 読了日 : 2022年7月18日
- 本棚登録日 : 2022年7月17日
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