ウェブ人間論 (新潮新書 193)

  • 新潮社 (2006年12月14日発売)
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感想 : 147
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何と、15年強も前の本だったということにびっくり。たしかに、FacebookやTwitter、スマホが一般化する前の時代として語られている。当時でも十分にネット社会の到来を思わされていたけど、いまになってみれば隔世の感あり。特に梅田さんの予測的発言なんか、2022年のいまとなってはどうだろうなんて底意地悪く読んでみたんだけど、けっこう的を射たこと言ってたんだなという印象。
当時にしてどっぷりウェブ社会にハマっている梅田さんと、ちょっと懐疑的に見ている平野さんの対話が面白い。平野さんのほうがだいぶ頭カタいなあという印象。自分もどっちかというと、(いまでもなお)平野さん寄りだけどその自分ですらそう思う。
でもそれって、ウェブ社会のとらえ方しだいなんだなとも思った。あくまでもポジティブに楽観的に先を見てウェブ社会の台頭を歓迎する梅田さん。平野さんが懐疑を呈しても、その切り返しになるほどそうかも、と思わせてしまうものがある。なかなかの論客のはずの平野さんがちょっと形無しな感じ。それって、従来の枠を軽く凌駕してしまう……具体的にいえば、平野さんが誰であろうと忖度せず発言する梅田さんのような……ウェブ社会の人たちならではといえるとも思う。
みんなの良心で世のなかを変えていかなければ的に述べる平野さんと、自分の楽なほう、したいほうへ向かっていけばいいという梅田さんも一見対象的。でも、ポジティブに楽観的に考えれば、みんながそれぞれの望む方向へ進んだ先がみんなにとって居心地のいい世界になる可能性もわりとありそう。つまり、ウェブ社会って根底に悪意がない世界とみなすべきってことかなと思った。
ウェブ的な世界って敬遠傾向にあるんだけど、見方が変わったというか、ウェブ的な世界をポジティブに見る視点を知った。スター・ウォーズ信奉者の集まりだってこととかね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月3日
読了日 : 2022年8月23日
本棚登録日 : 2022年8月23日

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