「銀河の町」「駆ける少年」「痩せたせなか」を収録。鷺沢萠は早熟だったなあ。どれも二十歳そこそこの小娘とは思えない題材だよ。時代が今よりもっと軽佻浮薄な感じだったと思うんだけど、そのなかにあってどうして作品を書こうと思ったんだろう。こういう世界に関心をもったんだろう。
3つとも底に流れているのは、「あきらめる」「あきらめられる」「あきらめられない」ってことかなと思った。もちろん、「あきらめずに頑張らないとダメ」みたいな軽いメッセージじゃないよ。人はちょっとしたはずみで、自分でも知らないうちにあきらめてしまうことがある。あきらめようと思っても、あきらめきれないことがある。あきらめたかのように見えて、あきらめていないことがある。荒んだ情景のなかで、心の中にポッと光を灯すような佳作たち。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2012年4月22日
- 読了日 : 2012年4月19日
- 本棚登録日 : 2012年4月19日
みんなの感想をみる