一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

制作 : トマス・ピンチョン 
  • 早川書房 (2009年7月18日発売)
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感想 : 1221
5

◯間違いのない名作。海外文学でよく感じる、表現のクドさというか濃厚さがあり、読みにくい部分があるが、それを抜きにしても面白い。構成も簡潔で分かりやすい。
◯一読しての感想では、当時の共産主義に対する痛烈な風刺として書かれたのではないかと考えてしまう。
◯しかし、二重思考という発想、視点によって、あらゆる統治機構が陥る権力志向への批判であると気がつく。資本主義でも共産主義でも、どれも行き過ぎると同じ世界を現出するであろう。権力者自体への批判の書であると感じる。
◯付録が何を意味しているのか、初読では言語による人間の思考を支配することで、世界そのものを支配する、言葉で生きている小説家の発想が見られて面白い、と思っていたが、それ以上に、舞台装置としての付録であったことに解説で気がつかされる。最後まで読んで、思想的にも小説としてもとてもお面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年5月6日
読了日 : 2020年5月6日
本棚登録日 : 2020年4月27日

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