家守綺譚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年9月28日発売)
4.14
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本棚登録 : 8955
感想 : 1102
3

梨木香歩さんの本を初めて読むならコレ!
と固い決心を持って胸に温めてきた

たくさんのレビューがあるので、内容には特に触れない

懐かしいのに新感覚
でもよく考えたら子供の頃のノスタルジックな感覚が甦る
昔、昼間なんか玄関の鍵は空いてて当然だし、ご近所さんからの差し入れがお勝手口から届けられる
我が祖父母の家では、リアカーを引き、牛小屋が家の中にある
ボットン便所はもちろん屋外
広い土間で遊ぶのが楽しかった
庭兼畑には他にも鶏や兎もいた
そして自由気ままに村を徘徊する(一応飼い)猫
何か変化があると動物たちが知らせてくれる
忘れかけていたそんなことを思い出させてくれる

たくさんの植物が登場する
でも半分以上わからない
なのに屋外の心地よさに浸れる

不思議な奴らがたくさん出てくる
いたずら好きもいる
ぜんぜん憎めない

悲しいことも楽しいことも、ただそこにあるだけ
誰も良くも悪くもない


この本を最高に贅沢に読む方法
(もちろん自論)

まずはラクな格好になりましょう
部屋を快適な温度に保ちましょう
クッションに囲まれたソファにもたれ、さぁスタート(理想は平屋の日本家屋の縁側なんだけどね)

心地の良い文章についウトウトし出す
夢うつつ状態で気が遠くなるのを感じながら
そのまま軽くうたた寝をし、目が覚めると…
あれ?
ここはどこ⁉︎
と一瞬でも惚ける
あゝ、読んでる最中に寝てしまったのだ…
軽い夢見心地だが、内容は思い出せそうで思い出せない
あれ?感覚は鮮明に残っているのに
おかしいなぁ
でもとても気分は良い 何故か少し切ない
不思議なノスタルジックな感覚だけがしばらく後をひく…

日常に忙殺されてしまった誰しもが心の奥に持っている懐かしい感覚
その琴線に触れるため、皆がこの本を好きになるのだろう

忙しない日常が陳腐に思えてくる…
居心地がよくって日常に戻りたくなくなってしまう危険な極まりない本である

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月18日
読了日 : 2021年6月18日
本棚登録日 : 2021年6月18日

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