日本語で書かれる文章にあって、文末が単調になるという著者の問題提起には同感できる。そして、単調な文章は、読者の眠気を誘発するという指摘に首肯せざるをえない。
この文末単調問題をさまざまなレトリックを駆使し、回避することで、さらには文章に力を与えることにもなると著者は述べている。もちろんレトリックとして提示される手法は、一通りではない。これらを駆使できれば、書かれた文章には力が宿るだろう。日本語が持つ語順に由来して起こる文末単調問題という宿痾には、気づいてはいたけれども、これまで対策を考えたことはなかった。本書を読んで理解した。文章を書くときに、都度、「気をつける」程度の精神論的対応しかできていなかったのだと。
文章はもちろんその内容が重要だが、表現が豊かであるということは、結果として内容にも影響を及ぼすだろう。一流作家になる小説を読めば、そのことはよく分かる。そして、本書はその領域に我々を一歩近づける一助となってくれるにちがいない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文化・教養
- 感想投稿日 : 2020年2月4日
- 読了日 : 2020年2月3日
- 本棚登録日 : 2020年2月4日
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