朝鮮民芸論集 (岩波文庫 青 N 105-1)

著者 :
制作 : 高崎宗司 
  • 岩波書店 (2003年7月17日発売)
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本棚登録 : 29
感想 : 5
4

2019年8月読了。
民藝関係の本で比較的に入手しやすいものは可能な限り読んだつもりだったが、この本は朝鮮半島の特に磁器に関する浅川巧の研究や紀行で、「なかなか韓国に行って実物を見る機会もないから後回しにしておこう」ということで読まずに放置していたら降って湧いたようにソウルに行く機会に恵まれた。やはり関心のあるエリアの図書はサボることなく読んでおかないと、チャンスを逃すことになるということを改めて学習した一冊。
日韓政府間はゴタゴタしているが、実地にソウル市内を歩いてみると別段日本人に対するあたりのキツさのようなものは感じなかった(2019年7月の話です)。浅川巧が朝鮮に渡ったのは1914年、この当時もおそらくは現地の人と日本人入植者の間でトラブルはあったろうが、著者の朝鮮磁器やその周辺の人々に関する目はとても暖かいものを感じる。人や物に忠実な目線で関わりを持っていきたい。

36ページ
「何仕事でも終生倦まずに働き通せたらその人は幸福だと思う。人類全体もその人からお蔭を蒙ることが多いであろう。けだし資本の向こうを張る労働でなくて資本があってもそれに自由にされない仕事、またなくても勝手に仕遂げられる仕事でなくては人間に平安を来たらさないであろう。現在の機械工業のおいては職工は年寄れば殆ど廃人同様になる。これは職工ばかりでなく現社会のあらゆる階級において見る現象であって、人は仕事の興味を終生つづけることが出来ない約束が出来ている。然るに従来の匠人らは幸福に仕事をしたように思える。」
→自由な仕事と資本=仕事を続けていく源泉の利益の問題は職業人にとって永遠のテーマ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月11日
読了日 : 2019年8月11日
本棚登録日 : 2019年8月2日

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