狐罠 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2000年5月12日発売)
3.69
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本棚登録 : 820
感想 : 103
5

古美術ミステリーと聞いて、テレビの2時間サスペンスみたいなトンデモ系かと思いきや、本格的に読ませる話で、引き込まれた。

何より、骨董に関する記述が専門的で細かいのに、知識の全くない自分でも面白く読める。蒔絵の文箱の文様の描写など、見たことがあるかのように鮮やかに頭に浮かぶ。

ただ、知識的なものより、登場人物それぞれの個性が際立っているのことが、この話の魅力をより増している。
主人公の冷静でいながら内に秘めた熱や、敵となる橘薫堂の品の良さをとりつくろった中に垣間見える下劣さなど、実際にそこにいる人のよう。

一点、硝子さんの口調は疑問。筆者が男性か女性か知らずに読み始め、途中も「どっちなんだろう?」と疑問が解けずにいたが、陶子と硝子の会話で、男性だなと。三十女言い過ぎだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2011年11月1日
読了日 : 2011年10月30日
本棚登録日 : 2011年11月1日

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