黒田官兵衛(1546~1604)の半生。
以下、本書より葉室麟氏による巻末の解説。
私は中学三年の時に左足の膝を悪くして入院し、そのまま受験して高校入試は合格したものの出席日数が足らず、一年間、休学した。
同級生から取り残され、復学してからも武道の実技はできず、その時間は武道具庫で面や小手、胴などの整理をして過ごした。
汗臭く薄暗い武道具庫で板敷の床に座って、小さな窓から差し込む日差しを眺めた。
思春期特有の孤独感や前途への不安が胸にあった。
その頃、『黒田如水』を読んだ。
窓から藤の花が見えた訳ではない。
しかし、いつか自分も官兵衛のように藤の花を見る事があるのではないか、という思いはあった。
だから、四十数年前の文庫本を今も持っているのだろう。
人生での躓きを感じた読者は、官兵衛が藤の花に託した祈りを胸深く感じ取るのではないだろうか。
葉室麟氏は2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞。
2017年に亡くなっている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年3月4日
- 読了日 : 2019年3月4日
- 本棚登録日 : 2019年3月4日
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