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ある男が奇妙で複雑な哲学的問題について
生涯考え続けたとしよう。
彼の思考が生み出したものは
なんの役にも立たず、
誰の関心も惹かなかったが、
彼は哲学的思考のおかげで生きることができ、
その果てに安らかに死ぬことができた。
この男の生涯は幸福だったのであり、
男の哲学的思考は彼にとって比類なき価値を
持っていたのである。
…
男が生み出したものが、
実は人々のものの見方や生き方を根本的なところで
動かす力を持っていることが後になって判明したとしよう。
男の存在はにわかに我々の心を激しく揺さぶるような
属性を帯びはじめるだろう。
それは「時に背を向けながらも、
そのことによって時を超える者」という属性である。
こうした者をある種ヒーローと呼ぶことができよう。
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- 感想投稿日 : 2020年1月22日
- 本棚登録日 : 2020年1月14日
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