2話目で主人公・繭のかかえる“傷”が判明。
しかし4話では、それをしのぐほどの「それってアリ?!」な展開に…
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亡くなった祖母は、写真館を営んでいた。
祖母の遺品整理のために、写真館を訪れた繭だったが、そこで未渡し写真を見つけてしまう。
未渡し写真を捨てるわけにもいかず、注文主を探していく繭だったが…
写真をやめてしまった繭の、心の傷。
そして妙な縁で知り合った青年・秋孝のかかえる秘密とは…?
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著者の三上延さんは「ビブリア古書堂の事件手帖」を書かれた方だそうです。
ですがわたしはそれを知らずに、背表紙タイトルだけでこの本を手に取りました。
結論から言えば、おもしろかったのですが、先に「ここで読むのをつまずくかもしれないポイント」について、2つ挙げておきます。
1つ目。
プロローグは猫目線で書かれているのですが、かといって語りは猫自身ではなく、ナレーションでした。
猫のことをナレーションが“彼女”と言っていて、それでかなり混乱してしまい、物語に入りにくくなってしまいました。
最後まで読み終えたあと、プロローグをもう一度読むと、プロローグがラストの伏線になっているとわかります。
プロローグで読みにくさを感じた方は、ぜひそこで読むのをあきらめるのではなく、潔くプロローグをとばして、第1話から読み進めることをオススメします。
2つ目。
小さい「っ」と大きい「つ」の区別がつきにくい字体を採用されているため、非常に読みづらかったです。
小さい「っ」のところを何度も大きい「つ」として認識してしまい、読むスピードと理解が落ちてしまいました。
よくよく見てみるとこの字体は小さい「ゃ、ゅ、ょ」なども大きめにデザインされていました。
内容は良くても、こうした字体のデザインが読む人を疲れさせてしまっては、もったいないです。
この字体がどんな種類なのかはわかりませんが、読み物に使うには難ありだと思いました。
しかし本作は、この読みにくかった点をしのぐくらいの面白さでした。
第2話ではやくも主人公・繭のかかえる心の傷がわかるのですが、繭自身からでたサビとは言え、なかなかのヘビーな心の傷でした。
しかも、こんなにおとなしく見える繭が、過去にはかなりイタイ人だったことも、衝撃を受けました。
というか、本当に同一人物…?というくらいの性格のちがいでした。
しかしわたしは、第2話を読み終え、少々油断していました。
「第2話でこんなにも大きな謎が明らかになったのだから、あとは中くらいの事件を解決してエンディングかしら?」なんて思っていたら、第4話で飛び上がるくらいびっくり仰天な秋孝の秘密にぶち当たってしまったのです…!
「えー…、そんなのありなの、、、」と、その秘密を知ったとき、秋孝親子の歪みに3kmくらい引いてしまいました。
そしてプロローグとリンクしていくエピローグ…
読み終えたときには、全4話のドラマを一気見したような、そんな気持ちになりました。
- 感想投稿日 : 2020年11月24日
- 読了日 : 2020年11月24日
- 本棚登録日 : 2020年11月24日
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