やっぱり私は角田光代好きだなあとしみじみ感じたのが、このブックレビュー本。
この類のレビュー本は数多くあるが、それを読んだだけで何となく原本を読んだような気になってしまうものも多いような・・・。
だけど、角田さんの本は、読みながら今すぐにでも原本を手に取って、確かめたくなる、本の世界を感じたくなる衝動に何度も駆られた。
例えば、安岡章太郎『カーライルの家』では、“『カーライルの家』にはまったく不思議な心地よさがある。読んでいて気持ちのよくなる文章、というのはめずらしい。透明に澄んでいて、雑味やとんがったにおいがない、のどが渇いたときの水のようにするすると体に入る。”とある。「気持ちのよくなる文章」が「水のようにするすると体に入る」本なんて、是非読んでみたいじゃないか。
もう一つ、テス・ギャラガー『ふくろう女の美容室』は“いい短編小説というのは、私にとって、最後の一文を読み終えたあと、ぱあっといきなり未知の世界が開けるような小説だ。言い換えればそれは深い余韻ということになる。”そうだ。そして“この短編集にはあきらかにそういう種類の小説ばかりが詰まっている”と書かれちゃあ、その深い余韻とやらを感じてみたいと思うもの。
本人いわく、この本は「感想文集」なのだそうだが、角田さんの「本」に対する愛情が伝わってくる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年9月25日
- 読了日 : 2011年9月25日
- 本棚登録日 : 2011年9月25日
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