ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝さんと
その妻リタさんの人生をモデルにしたお話です。
NHKの朝ドラを観ていましたので、大筋でほぼ同じ流れのお話でしたが
リタさんが故郷スコットランドで暮らす少女の頃よりのお話が冒頭からあり
とても興味深く何より読んでよかった。ドラマの中では感じ得なかった
感動の一面を見ることが出来てとても嬉しかったです。
読みだしてすぐ、まるで海外小説の翻訳を読んでいるような感覚にとらわれました。
でも確か日本文学のはず...。そこで著者さんのプロフィールを確認してみると
森瑤子さんはイギリス人の方とご結婚なさっていたということでしたので
文章を考える感覚が英語的になっていらっしゃるのかもしれないですね。
それともこちらの物語がスコットランドに関係することで意識的に
英語翻訳らしい文章をお描きになったのでしょうか..。いずれにしても
とても心地のいい文章の流れで、この初読みのいっぺんで
森瑤子さんのことが大好きになりました。
リタさんの少女として、女性として妻としての想いの素敵な一面が
いくつもあってなかなか書き尽くせないのですが、一番好きなところは
お父さまが亡くなったときに想うリタの心情とリタとママが交わす会話の場面です。
(前省略)お父さまは昨日、予行練習しておいてくださったのだ、と不意に思った。
リタが取り乱さないように、今朝のことを予告してくだすったのだ。(続き省略)
リタのお父さまに対する気持ちの捉えたかがとても素敵。この後に続く
リタとママの会話と振る舞いもとても好きな場面です。素敵な親子。
素敵な家族。悲しい場面なのにうっとりしてしまいました。
もうひとつ心に沁みた言葉をフレーズ集に残します。
森瑤子さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います。
- 感想投稿日 : 2017年5月4日
- 読了日 : 2017年4月25日
- 本棚登録日 : 2017年5月2日
みんなの感想をみる