読み始め…16.7.13
読み終わり…16.7.13
音楽が題材になった小説として読んでみたくてかなり前から探していたところ、カバーが新装され出版社も変わって再販されていたところにやっと出会うことができました。新装されたカバーのイラストは漫画家さんであるという穂積さんによるもので、楽器に向かうその真剣な眼差しがこのストーリーに登場する人物たちにも似ていてなかなかの迫力です。
音楽一家に生まれ育った津島サトルはチェリストを目指して東京芸大の付属高校を受験するも失敗し、結局サトルの祖父が学長を務める私立の音楽高校に入学するというところからストーリーは始まります。
音楽科に特化した過酷なカリキュラムに奮闘するサトルとその同級生たち。友情と恋にも揉まれ、高校生という多感な年頃の心の葛藤は全力で熱いです。
ことにオーケストラという集団での演奏について、一つの音楽を集団で作り上げ、ステージ上で演奏するに至るまでの過程の描写があまりにもリアルで真に迫るものがありました。
楽器というものはたった一つでも音楽(曲)を成すことができるけれど、集団で一つの音楽を作り出すこともできる。
オーケストラでは、楽器一つでも成せるのが音楽だからといって自分一人だけが目立ったり、勝手なことをしたり、あるいは手を抜いたりしていたんでは一つの音楽(曲)は出来上がらない。自分の役割を忠実に果たすことによって初めて一つになるもの...
並行して読んでいる本があるせいか「駅伝」にも通じるものがあるように思えました。
一つの目標に向かって全力で熱くなる青春。
一生懸命。好きな言葉です。
- 感想投稿日 : 2016年8月20日
- 読了日 : 2016年7月13日
- 本棚登録日 : 2016年7月27日
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