恐怖の谷 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

  • 光文社 (2008年1月10日発売)
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感想 : 42
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全てがひっくり返る瞬間の気持ちよさがたまらない。何回読んでも面白い。


第一部は、『シャーロック・ホームズの建築』 (北原尚彦 文 /村山隆司 絵・図)で紹介されている事件現場の俯瞰図や間取り図と照らし合わせながら読んだ。
重要な役割を果たした隠し扉と隠し部屋を、建築本の絵や図で見るのが楽しみだったが、正典で詳細が語られていないからか、間取り図でサラッと描かれている程度。隠し部屋はおそらく屋根裏部屋ではないかとのこと。
内堀や跳ね橋のある外観図はいかにも物々しく、周囲の樹木も鬱蒼としていて、ドラマチックな犯罪が起こりそうな雰囲気。

間取り図上で興味を引かれるのは屋敷の奥の使用人たちの領域。
キッチン、パントリー、食器室、使用人部屋、使用人ホール、ハウスキーパー室、貯蔵庫……たくさんの小さな部屋が目的別に並んでいる。
一部屋一部屋覗いてみたい。特に食器室。
英国のお屋敷における貴重な銀器や磁器の手入れは執事の職務であり、食器室そのものの管理も執事の役割だそうだ。


第二部はホームズもワトソンも出てこないが、主役のバーディ・エドワーズが魅力たっぷり。
エピローグはショッキングだが、名前や身分を変えてまたどこかで生き延びていればいいのに。ホームズもそれに一役買っていて、そっと自分の胸のうちにのみ仕舞い込んでいたり、しないのかな。
スコウラーズの中にいて良心を失わなかったモリスはどうなったんだろう?たとえ起訴や裁判になったとしても、きっとエドワーズが口を添えてくれたはず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月15日
読了日 : 2023年2月14日
本棚登録日 : 2023年2月14日

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