なんて作品なんだろう。太宰治初読みでした。
構成としては、ある男の手記。自分が人間らしいと思えず道化を演じ、道化を演じているとバレてしまうことが恐ろしく、酒女薬に溺れてゆく。ついに自分で自分に人間失格の烙印を押してしまう人生の話。
簡単に共感なんてできないし、この文学を本当の意味で理解なんてきっとできていないけれど。それでも、なぜか生きようという希望が湧いてくる物語であるように思う。
葉蔵は、確かにいろんな欲に溺れ、迷惑という迷惑をかけ続け、何度も死のうとしながら、溺れていきながらも生きている。見方を変えると、生命力が強いというかなんというか。だからこそ、問題作と言われながら高い知名度を誇っているのではないのかなと。私の主観ですが。
あとがきのマダムの、「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気が利いて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、…神様みたいないい子でした。」という言葉が刺さる。
葉蔵は、自分で自分に失格の烙印を押し続けてしまった。それこそが、彼が欲に溺れてしまった要因なのではないかと私は思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年11月29日
- 読了日 : 2023年11月29日
- 本棚登録日 : 2023年11月29日
みんなの感想をみる