阿修羅ガール (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年4月24日発売)
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本棚登録 : 3446
感想 : 521
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ここのところ舞城王太郎中毒で、順番に読んでるんだけど、このネット社会で舞城王太郎が覆面作家であり続けてるのは奇跡なんじゃないかと思っていろいろネットサーフィン(死語)してたら、舞城王太郎女性説に遭遇した。
軽くショック。全くその発想は無かった。
でもその後で舞城王太郎のTwitterアカウントを知って見てたら自画像を女性の姿で描いてるし、女性説の根拠も説得力あって、ひょっとしてあるのか?女なのか?と疑い出した。
そしたら読書家の友人が「そう言われるとそうかもしれないと思う。前に読んだ女性一人称の作品、全く違和感なかった」と言う。
それがこの作品なのかは確かめてないけど、私にとっては初めての女性一人称の舞城王太郎作品。

なんか、変な話だった。
平たく言うと、女子高生の精神世界を書いた話。
いろいろえげつなく人が死んだり殺されたりするけど、特に解決しない(ぐるぐる魔人の事件くらいか)し、けっこうファンタジーなことが起こるし。
ヒトの内面なんて見たことないから、こういう造り(?)の人も居るかもしれない、とは感じた。
で、個人的にエロ話する女が苦手なので、この作品はあまり好みではなかった。ただ、確かに女性一人称としては違和感はなくて、今では舞城王太郎はほぼ女性なんじゃないかと思うようになった。
残念。
なんだろ、男性だったら許容できた自分がいる。そういう先入観?で判断されたくないから舞城王太郎は覆面作家であり続けるんだろうし、性別で好き嫌いが変わるのはどうかしてると分かっちゃいるけど、そう思っちゃったんだから仕方ない。
まぁとにかく、男だとしても女だとしても舞城王太郎の一人称は男性目線がしっくり来る。私にとって。

あらすじを説明するのが難しい。文庫本のウラスジが良く描けてる。
舞城王太郎4作目なので読んでる方にも慣れが来たのか、それほどインパクトを感じなかった。これ以前の作品のような強いメッセージも受信しなかった。
そういう意味じゃ穏やかな作品かもしれない。
あと、アイコがラストで得た「人間は100%悪くはなくて芯の芯に良いところがある」ってのは、確かにそうだけど残忍な殺人者に当て嵌めるとなると私は抵抗力の方が勝る。

好きって感情が原動力となってるわけじゃないのに他人のために動ける陽治が一番ホトケだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 舞城王太郎
感想投稿日 : 2021年6月21日
読了日 : 2021年6月21日
本棚登録日 : 2021年3月7日

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