噂 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年2月28日発売)
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感想 : 1202
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女子高生のコミュニティで流行ってる噂話が現実化して、足首が切断される連続殺人が起こる、って、猟奇的な話ぽくて読むの躊躇ってたけど、殺人シーンはほとんどないし、死体描写も最低限で、一般的な殺人系のミステリだと思って大丈夫。
ジャンルでいうと警察ミステリ。
でも叙述トリックあり、倒叙ミステリ調なところもあり、欲張りな一冊だと思う。
ストーリーもしっかりしてて読み応えあった。

主人公の小暮の人柄も好感が持てるし、相棒の名島も有能さをひけらかさない良識ある女性で、キャラクターが魅力的だった。
(でも恋愛には発展しないかな……)
レインマンの噂のことは最初に語られるので、読者はそれを知っていながら警察が核心に近づいていくのを読まされる訳で、知らない方が楽しめたかな……とも考えたけど、やっぱりこの手法で良かったのかも。ちょっとだけ手の内明かされてるせいもあって、続きが気になる気になる。

最後の一行は、初見では、菜摘の造語は友達誰も使ってくれないって言ってたけどごく周辺からだんだん流行って来てるってことかな=犯人は菜摘のごく身近な(殺されたクミも属してるコミュニティの)子ってことかな?と解釈してみたけど、ここは素直に菜摘も手を下した一人と考えるのが正解らしい。
自分はすっかり小暮側の立場で読んでいて、娘~!いくら親友の復讐だからって親の人生滅茶苦茶になるようなことするなよ!と思ってしまった。
女子高生に近い年齢の時に読んでたら、大人が仕事仕事って家庭を顧みないからこうなるんだぞ!と鼻息荒くしたかもしれない。
このまま西崎の犯行と勘違いされて、彼女らは罰せられないのだろうか。どっちに転んでもイヤだなぁ。

思春期の闇がよく描き出された作品だと思う。
個人的には小暮名島チームの続編が読みたいけど、この結末じゃシリーズ化は無理だよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年7月6日
読了日 : 2017年7月6日
本棚登録日 : 2017年7月6日

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