帳簿の世界史

  • 文藝春秋 (2015年4月8日発売)
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帳簿は紀元前よりあったが、中世イタリアで発達した複式簿記がやがては現地では廃れ、ヨーロッパ各国では時の権力者の胸先三寸で根付いては消え根付いては消えしてとうとう1929年世界大恐慌までにもまだ世界的には制度として正しく扱われていなかった。(透明会計を渋る声が米国大手銀行に多かった。)
今では当たり前のように存在する会計システムが実はとても現代的なものなのだというのが新鮮だったし、それでも尚リーマン・ショックのような事件が起こるのはそれだけ帳簿を正しく扱うのが難しいそうだ。著者は不透明会計が蔓延る中国でまた歴史が繰り返されることを危惧している。
ちょうど東芝事件があって、監査していた会計事務所は何をやっていたのだという義憤に駆られていたけども、この本を読むとそんなに単純ではないことがわかった。
複式簿記と監査がきちんと行われた国は富み、それが廃れた国は傾く。そういう話がたくさん出てきて、会計に興味を持った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2015年7月31日
読了日 : 2015年7月29日
本棚登録日 : 2015年7月16日

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