世に人有る所クズ人間有り。ベルギー出身の著者が少年期を回顧した自伝的短編集。金もなく生活や言動はどうしようもなく粗野、毎日をチキンレースの如く飲んだくれることで過ごす父と祖父達の元で過ごした日々は糞ったれで最低なのに、ここには決して奪われない絆と笑いが刻まれているのだからたまらない。作者はやがて距離を置き、文化的に洗練される事でこの小説を書き上げたのだが、それはこの共同体から切り離されることを必然的に意味していた。だからこそ本書は葛藤や自己嫌悪に苛まれながらも、家族に対しての愛おしさが滲み出てるのだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2013年3月20日
- 読了日 : 2013年3月20日
- 本棚登録日 : 2013年3月20日
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