読売新聞に入社したアメリカ人記者の記録。
スラング表現が多く下品な表現や英単語がたくさん覚えられます。
長いし読み進めるのに苦労した。俺の英語力はまだまだやな。
このアメリカ人、日本語で取材し日本語で記事を書いていたとは驚き。よく考えれば日本の新聞記事って署名がないので誰が書いたか分からない。まさか外国人が書いていたとは・・・。しかもスクープで新聞1面に記事が載ったりとか。凄過ぎだろう。
ただ、この本はサツ回りがいかに大変かという事件記者奮闘記なのか、外国人記者から見た日本社会(特に裏社会)の実態を描いたものなのか、はっきりしない。視点が定まってないままテーマの面白さで筆を進めた印象。冗舌な文章が多く途中で飽きたこともしばしば。だから全体の構成が散漫な印象をもってしまった。
もちろん個々のエピソードで興味深い話も多い。ゴシップネタも多数。
自殺した同僚の女性記者の話(考えさせられた)。
サツ回りで知り合った関口刑事との交流はちょっと感涙。
元総理の祖父(母方)はヤクザだったとか、サラ金の胴元が某政治家(元警察官僚)に献金していた事実など全て実名で出てくる。
外国人女性の人身売買は読んでいて気分が悪かった。これは日本の恥。
ヤクザは海外の銀行がお好きみたい。実際シティ・バンクで一番大きな口座をもっていたのは組長の兄弟分だったらしいよ・・・。外資系金融機関を使ってマネーロンダリングを行っている。
あと、日本で一番大きい暴力団の親分が肝臓移植手術のためにアメリカに渡った話は興味深い。で、入国のためにFBIと取引したと。
彼らの潤沢な資金は企業活動(違法多々あり)から生まれる。
著者は本のなかで現代の日本のヤクザを「銃を持ったゴールドマン・サックス」と評しているが言い得て妙だ。
フロント企業・企業舎弟などバックに暴力団がいる会社が100以上あるという。昔のように収入源はクスリや風俗産業だけではない。政界官界は言うまでもなく、不動産・株・金融・IT・芸能事務所・スポーツなど経済社会に深く食い込んでいる。
この本を読んでいて一番恐ろしかった(興味深い)点がここにある。彼らの莫大な資金と社会的影響力の強さ。
極道者がいない社会は世界に存在しないが、これでいいのか日本。
追記:著者は読売を退社した後、日本の人身売買撲滅を進める運動と日米両方でフリーの取材出版活動をしている。