The Road. (Vintage) (Vintage International)

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780307386458

感想・レビュー・書評

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  • コーマック・マッカーシー=西部劇っていう謎の思い込みがあったので、近未来SFということにしばらく気づかなかった。
    だいぶ読み進んでから、あれ?もしかしてこれ、北斗の拳の世界なの…?と気づいたというマヌケっぷり。(毎回そんな感じですけど)

    登場人物は父と息子の2人っきりで、荒廃し灰が舞う世界をただひたすら南へ向かう、という話で、正直、あまりに単調でしかも文字どおり光の差さない薄暗い話なのが辛くて、読み終わるのに恐ろしいほど時間がかかってしまった。

    英文は基本は簡単なのだけど、状況描写のところどころで???と思うところがあって、かつ私のアポカリプティック方面の想像力も追いつかないので、結局途中から、図書館で日本語版も借りてきて参照した。
    日本語訳は素晴らしかったです。
    アポストロフィーをあまり使わず、名詞を重ねていく文章の雰囲気がうまく日本語にも出ていた。

    途中まで、早く終わらないかなーなんて思って読んでいたのだけれど、あと10ページくらいという最後の最後になって、急にエライ勢いで読んだ。
    実は、ラストは息子の純粋さに泣くことになるんじゃないかとずっと思っていた。息子は明らかに暗い世界に差す光だったから。父と息子の会話にはときどきキリスト教的世界観がうっすらと透けて見えて、そこにイラっとさせられてはいたんだけれど、それでも、この子のまっすぐさには泣かされそうだなーと。
    だけど、予想に反して、息子よりも何よりも、父親の健気な姿に激しく心乱された。
    ざわついたカフェでモーニングを食べながら読んでいたのだが、公衆の面前で鼻水と涙をだらだら流してしまった。

    父には息子が光り輝いて見えたのだが、父の目に映るその光は私の目にも確かに見えた、と思う。

  • 父と息子が荒廃した世界を生き残りをかけて南へと旅する。一歩間違えれば他の人間の食糧となってしまう世界。二人の旅が淡々と語られている。この作家の作品は二作目だけれど、詩的な文体が好き。美しい文章で暴力的な荒廃した世界を描いているのがずしりとくる。しかし、読みながら一番心に残ったのは、作品世界と比較していかに現在私のいる状況が恵まれているのかということだった。毎日暖かいベッドで飢えることなく襲われることに怯えることなく生活していけることの有難さ。忘れがちであるこの状況に感謝。

  • 脳みその奥の方にじーんとした痛みを感じながら読む。灰が降り注ぐ世界で、町には略奪と食人が横行している。そんな情景を見ながら父と子はひたすらに南を目指す。このような幼少期を過ごしてどうして少年はあんなにも無垢でいられるのか。汚い部分も全部含めて父親が守ってくれていたのだろうけど、それにしても。母もわが子を守るけど、あんな風な守り方ができるのは父親だけだな、としみじみ。これからあの子は父が引き受けてきた世の穢れとも自分の力で引き受けなくちゃならないだろう。不思議かな、子どもを持つっていいな、とも思わされた。

  • 今まで読んだどんなディストピア作品よりも、容赦がなく、どこまでもリアル。ただし、ある意味では最後に救いがある点が文芸作品だと感じられた。深く語られる事は一度もないが、恐らくは核戦争後の世界。まだ本格的な荒廃が始まる前に生まれた10歳程度の男の子と、その父親が地獄の様に荒れ果てた世界で、放浪する様を描く。明らかに異常なのだが、男の子は万一の場合に備え自殺の方法を熟知しているし、至る所で見られる死体に驚く事はもう一切ない。ただ共喰いにまで堕ちた略奪者達の姿と、底をつく食料、迫り来る冬の到来、そして父の血痰を含む咳に怯えながら、ひたすら南を目指す。生にしがみつく者、諦める者、様々な人物を通して、剝き身にした人間の本質を考えさせられる。結局は愛か。でもそれも結構独善的だったよなぁ。読んでいてかなり苦しかったが、非常に心に残る作品で、読んで良かった。丸裸にした人間達を家の片隅で家畜のように飼って、一部一部裁断して喰いながら飢えを凌いでいる一団の描写はトラウマ。絶対に有り得そうだったのが何よりのトラウマだ。

  • 手にとったときも単語がやさしくとっつきやすかった。登場人物が少なくて英語でも楽チン。

    ただひたすら単調なこの話の流れが辛い、行けども行けどもパパと少年の言葉だけ!もういやだ!と言いたくなってしまう。

    そんな意味で何度も挫折して、今回やっと読み終えたが、ああ終わったとアンドの気持ちのみ。
    これじゃあ意味ないな、辛かっただけ。楽しまなくっちゃ。

    さてもうすぐ邦訳バージョンが図書館から借りれる、そこでゆっくり味わってみよう。

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